現代の家庭では、共働きが当たり前になっています。仕事と家事・育児を両立する日々の中で、「少しでも家事がラクになる家」を望む声は非常に多いものです。毎日の家事は、料理・洗濯・掃除といったルーティンが大半を占めます。これらを効率的に行えるかどうかは、実は「家の動線」に大きく左右されるのです。
動線とは、人が家の中を移動するルートのこと。動線がスムーズなら、無駄な移動が減り、家事の時短やストレス軽減につながります。この記事では、共働き夫婦におすすめの“家事ラク動線”のアイデアを紹介していきます。
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- 玄関からキッチンへ直行できる動線
買い物帰りに重い荷物を抱えて家に入ったとき、玄関から遠い場所にキッチンがあると、それだけでストレスになります。特に共働き夫婦は仕事帰りにスーパーに寄ることが多く、食材や日用品をすぐに片づけられる動線があると便利です。
アイデア
• 玄関 → パントリー → キッチン の動線をつくる
• パントリーを玄関近くに配置して、買ったものをすぐ収納できるようにする
• ゴミ出しも考えて、勝手口を近くに設けるとさらに効率的
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- 洗濯動線を最短にする「ランドリールーム」
洗濯は「洗う → 干す → 取り込む → たたむ → しまう」という工程が多く、家事の中でも動線が複雑になりがちです。動線をまとめることで、毎日の負担が大きく減ります。
アイデア
• 洗面室とランドリールームを兼用し、その隣にファミリークローゼットを配置
• 「洗う」から「しまう」まで同じフロア・同じ部屋で完結できるようにする
• 室内干しスペースを備えることで、天候に左右されずに効率的に家事ができる
こうした間取りは、共働きで「夜に洗濯する派」の家庭にもぴったりです。
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- キッチンを中心とした回遊動線
料理中に子どもの様子を見たり、配膳や片づけをスムーズに行ったりするために、キッチンを家の中心に置く「回遊動線」が人気です。
アイデア
• キッチン → ダイニング → リビングを一直線に配置
• キッチンの背面にパントリーと洗面室を設けることで、料理しながら洗濯も可能
• アイランドキッチンを採用すれば、ぐるっと回れる回遊動線になり家族も動きやすい
共働き世帯にとって「ながら家事」ができる間取りは、時間の節約につながります。
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- 帰宅後の流れを考えた動線
仕事や学校から帰ってきた家族が「手洗い・着替え・荷物の片づけ」をスムーズにできるかどうかは、日々の暮らしやすさに直結します。
アイデア
• 玄関 → シュークローク → 洗面所 → ファミリークローゼットの流れをつくる
• 帰宅後すぐに手洗いを済ませ、制服やスーツを掛けてからリビングへ移動
• 生活動線と来客動線を分けることで、玄関まわりが散らからず快適に
感染症対策としても、帰宅後すぐに洗面や着替えができる動線は注目されています。
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- 片づけやすい収納動線
どんなに動線が工夫されていても、収納が足りないと家は散らかってしまいます。共働き夫婦の場合、掃除や片づけにかけられる時間は限られているため、「動線に沿った収納」がポイントになります。
アイデア
• 玄関にシュークローク+宅配ボックス収納
• リビングに散らかりがちな小物をしまえるファミリー収納
• 各部屋のクローゼットを大きくするより、共有のウォークインクローゼットを中心にする方が効率的
収納は「使う場所の近く」にあることが大切。モノを動かす距離が短いほど、片づけも自然と習慣化します。
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- 掃除をラクにする動線
掃除のしやすさも“家事ラク”を支える大きな要素です。最新の掃除機やロボット掃除機を活用するには、間取りの工夫が欠かせません。
アイデア
• ロボット掃除機が使いやすいように、段差を減らしたフラット設計にする
• コンセントや充電スペースを廊下や収納内に確保
• 各フロアに掃除道具を置ける収納を設けることで、移動の手間を減らす
共働き世帯は掃除に割ける時間が少ないからこそ、「自動化」と「効率化」が重要です。
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- 朝のラッシュを解消する動線
共働き夫婦+子どもがいる家庭では、朝の準備が重なることで「洗面所が混む」「トイレが渋滞する」といったストレスが起こりがちです。
アイデア
• 洗面台を2ボウルにして、同時に身支度ができるようにする
• トイレを1階と2階に1つずつ配置する
• 洗面所と脱衣所を分けて、家族が同時に使えるようにする
朝のストレスが軽減されると、一日を気持ちよくスタートできます。
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- 時短家事を叶える最新設備との組み合わせ
動線の工夫に加え、最新設備を取り入れることでさらに家事ラクが実現できます。
例
• 食器洗い乾燥機で洗い物の手間を削減
• ガス衣類乾燥機で洗濯動線を短縮
• スマート家電で遠隔操作や自動化を活用
共働き夫婦にとって「設備投資」は時短=生活の質向上につながるもの。間取りと設備を両輪で考えるのがおすすめです。
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まとめ:夫婦で共有する“暮らしの優先順位”が大切
共働き夫婦が家を建てる際に重視すべきは、「家事を夫婦どちらかに偏らせない家づくり」です。そのためには、家事を効率的に分担できる“家事ラク動線”が欠かせません。
• 買い物帰りの動線
• 洗濯を一部屋で完結する動線
• 回遊性のあるキッチン動線
• 帰宅後の手洗い・着替え動線
• 収納や掃除のしやすさ
こうした工夫を積み重ねることで、家事時間を短縮し、夫婦でゆとりのある時間を楽しめるようになります。
家づくりは一度完成してしまうと簡単には変えられません。だからこそ、設計段階で「日々の暮らし方」を具体的に想像し、夫婦で意見を出し合うことが大切です。効率的な動線のある家は、共働き夫婦にとって最大の味方になってくれるでしょう。