― 大きさよりも、ちょうどよさを選ぶ時代へ ―
注文住宅を考えるとき、多くの人が一度は悩むのが
「何坪くらいが正解なのか」「部屋はいくつ必要なのか」という問題です。
広い家は魅力的に見えます。
収納も多く、将来のために余裕を持てる気もします。
しかし近年、「大きければ安心」という考え方から、
「自分たちにとって無理のない大きさ」=ベストサイズを選ぶ人が増えてきました。
この記事では、これからの時代に求められる家の大きさについて、
暮らし方や価値観の変化をもとに整理していきます。
「広さ=豊かさ」だった時代
これまでの日本の住宅は、
- 部屋数が多い
- 延床面積が広い
- 将来使うかもしれない空間を確保する
といった考え方が主流でした。
背景には
- 核家族化の進行
- 子ども部屋を確保する必要性
- 「持ち家=資産」という意識
があります。
そのため、実際には使われていない部屋があっても、
「あること自体が安心」という価値観が根付いていました。
変わり始めた暮らしと家の関係
しかし、近年は暮らし方そのものが大きく変わっています。
- 世帯人数の減少
- 共働き世帯の増加
- 家で過ごす時間の質を重視する意識
- 老後まで見据えた住まい選び
こうした変化の中で、
「管理しきれない広さ」
「使わない部屋のためのコスト」
に疑問を感じる人が増えてきました。
必要以上に大きな家は、必ずしも暮らしを豊かにしない。
そんな気づきが、「ベストサイズ」という考え方につながっています。
ベストサイズとは「削ること」ではない
ベストサイズというと、
「狭くすること」「我慢すること」と受け取られがちです。
しかし本来のベストサイズとは、
無駄を削り、必要な部分にしっかりと余白を残すことです。
- 使わない廊下を減らす
- 動線を整理する
- 兼用できる空間をつくる
こうした工夫によって、
延床面積を抑えながらも、暮らしやすさはむしろ向上します。
数字としての広さではなく、
体感としての豊かさを重視する考え方です。
ベストサイズがもたらす3つのメリット
1. 日々の負担が減る
家がコンパクトになることで
- 掃除の手間
- 冷暖房の効率
- 移動距離
が自然と減ります。
これは、忙しい共働き世帯や、
将来を見据える世代にとって、大きなメリットです。
2. コストを「本当に大切な部分」に使える
建築費は、面積が増えるほど上がります。
ベストサイズの家では、
- 断熱・気密
- 窓の性能
- 素材の質
など、暮らしの質に直結する部分にコストをかけやすくなります。
広さを抑えることで、性能や快適性を高める。
これは、長く住むほど差が出る選択です。
3. 暮らしがシンプルになる
必要なものだけを持ち、
使う場所の近くに収納する。
ベストサイズの家は、
暮らし方そのものを見直すきっかけにもなります。
モノと距離が近くなることで、
「探す」「片づける」といったストレスも減っていきます。
平屋とベストサイズの相性
平屋は、ベストサイズの考え方と非常に相性の良い住まいです。
- ワンフロアで完結する動線
- 無駄な上下移動がない
- 必要な広さを素直に形にできる
平屋では、
「何坪あるか」よりも
「どう使うか」が設計にそのまま表れます。
そのため、
暮らしに合ったサイズ感を実現しやすいのです。
ベストサイズは「今」と「これから」の間にある
家づくりで難しいのは、
今の暮らしと、将来の暮らしのバランスです。
- 今は子どもが小さい
- 将来は夫婦2人になる
- 老後は体力が落ちる
ベストサイズとは、
その変化を受け止められる「余白」を含んだ大きさです。
広すぎず、狭すぎない。
使い切れるけれど、窮屈ではない。
そんなサイズ感が、これからの家づくりに求められています。
まとめ:家の価値は「大きさ」では決まらない
これからの家づくりでは、
「どれだけ広いか」よりも、
**「どれだけ自分たちの暮らしに合っているか」**が重要になります。
ベストサイズの家は、
- 管理しやすく
- 無理がなく
- 長く心地よく暮らせる
住まいです。
家は、暮らしを支える器。
大きさを競うものではありません。
自分たちにとっての“ちょうどいい”を見つけること。
それこそが、これからの家づくりで最も大切な視点なのかもしれません。